赤ちゃんの予防接種で、2016年から任意接種から定期接種へと切り替えられたB型肝炎ワクチン。
みなさん、定期接種だからと推奨のスケジュール通りにワクチンを打ったらもうおしまい!!なんて考えていませんか!?
実はこのB型肝炎ワクチン、3回受けても抗体(簡単にいうと体内で感染を防ぐために自己防衛するためのもの)がつかない人もいるのです。
はい、実際に私自身がそうなのです。
さらに言うと、3回以内で抗体が得られたとしても、その抗体は一生続かないのも事実。
大切な子どもを守るためにも、今回はB型肝炎ワクチンについて詳しく知り、B型肝炎を正しく予防しましょう。
あ、ちなみに題名の看護師は私のことですよ。一応資格を持っているので、医療の知識に基いて、記事を書いていきます。
B型肝炎の基本知識
B型肝炎はウイルスが体の中に侵入し、感染・発症すると肝臓が炎症し、急性肝炎や慢性肝炎を引き起こす病気です。ちなみに、ウイルス自体が症状を引き起こしているのではなく、ウイルスをやっつけようとする自身の免疫が間違って肝臓まで攻撃してしまう結果、症状が現れるのです。
さらに炎症がひどくなると、肝硬変や肝細胞癌へと移行してしまう恐ろしい病気なのです。
大人と子供では特徴に違いがあり、
- 急性肝炎になりやすく、一過性で治癒が可能
- 潜伏期間が1~6か月で、症状が現れる
- 感染しても症状が出ない無症候性キャリアとなり、何年も気づかないことが多い
- 慢性化しやすく、完治はほぼ無理
と小さい時の予防がどれだけ重要かわかってもらえたかと思います。ちなみに、なぜこのように違いがあるのかというと、免疫力の強さが関係してきます。
免疫力が十分にある成人が感染しても、一過性でウイルスを追い出すことが出来るのですが、免疫が未熟な子供が感染すると、ウイルスと共存してしまうのです。その結果、追い出すことは出来ず、ずっと仲良く暮らさなければいけない羽目になってしまうのです。
そんな恐ろしいことを自分の子供にさせたくないですよね。そこで、定期接種にもなったB型肝炎ワクチンがとても重要なのです。
感染経路は⁉
成人の場合は性交渉や針刺し事故、輸血注射器やピアス器具の使いまわし、、輸血などが原因になります。つまり、体液と血液を介し感染してしまうのです。
小児の場合は、母親が感染者だった場合の母子感染もあります。
血液のみならず、体液でも感染してしまうため、体液のついたタオルや歯ブラシでも感染源になってしまうことも。子供の場合、感染していても無症状ですごす場合が多いため、もしお子さんが通っている保育園や学校に感染した子供がいたとしたら・・・
いかに早めのワクチン接種が重要かわかっていただけたでしょうか。
B型肝炎ワクチンについて
2016年から定期接種となったB型肝炎ワクチン(HBワクチンといいます)。
新しく定期接種に加わったので、安全性を心配する方もいるかもしれませんが、このHBワクチンは世界180カ国以上で接種されている、とても安全性の高いワクチンなんです。
接種方法はというと、他のワクチン同様に皮下注射で実施します。
ヒブや肺炎球菌ワクチンとの同時接種も可能であり、生後2ヶ月からの接種が推奨されています。そして、基本は
①2ヶ月
②3ヶ月
③7~8ヶ月
の3回接種が基本です。
なぜ3回接種なのか
ワクチンを3回接種することで、
40歳未満の一般成人でしたら90%以上が抗体を獲得するとされています。これが小児や青年になると95%以上にもなります。
他にもヒブや肺炎球菌のワクチンも何度も繰り返し接種しなければいけませんよね。
このようなワクチンは1度や2度のワクチンでは、抗体が全ての人につかないため、B型肝炎ワクチンのように90%以上とかの高確率で抗体がつくまで、接種の回数が決められているのです。
これを聞いて、えっ!?と思った方・・・
そうです、予防接種ってカンペキではないんです。
ワクチンを受けた100%の人が感染を防げるわけではない、これが予防接種なのです。
みなさんはちゃんとスケジュール通りに予防接種を受ければ、その後は病気にかからないと思い込んでいませんか!?
実は私自身もそう思っていたのですが、B型肝炎ワクチンを接種した際に、その現実を突きつけられたのでした。
私がB型肝炎ワクチンを受けたきっかけ
私はB型肝炎ワクチンを20代後半で接種しました。
きっかけは看護師として就職をしたから。
医療従事者というのは、感染症への感染リスクが他の仕事より高いため、入職前に定番の感染症の抗体を持っているかの検査をします。
その結果、B型肝炎の抗体がないと分かり、初めてB型肝炎ワクチンの接種をしました。
ワクチンの知識もあまり無かった私は、それで終わりかと思っていたら、半年後にまたワクチン接種を告げられます。
また!?なんて思いながら、先輩看護師に聞いてみると、抗体が付きにくい人もいることを初めて知りました。
「そんな人もいるんだな〜」
くらいに思っていたら、半年後にまた通知が・・・
さすがに同じ職場に3回連続で接種している人は他にはいませんでした。
3回目だと言うことを告げると「可哀想ねぇ〜」なんて哀れみの目でみられます(笑)
しかし、さらにそれだけでは終わらず、4回目・・・
もう私の体に一生抗体はつかないんだと思いました。
この抗体というのはHBs抗体といって、基準の10.0を超えないと、抗体があると認められません。
当時の私のデータは不明ですが、少しずつ上昇をしていたけれど、10.0には満たなかったというのは覚えています。
そして、4回目でやっとその基準をクリアし、ワクチン地獄から抜け出すことが出来たのでした。
抗体がついても一生続かない
1度、HBs抗体の数値がクリアしても安心はできません。
年月が経ったり、他の病気への罹患などが原因で一度獲得した抗体も、無くなってしまうこともあるのです。
データでは乳児期にワクチンを接種した場合5〜15年後までに15〜50%が抗体価が減少するとのこと。
ワクチンをスケジュール通りに打ったからと安心するのではなく、親子で予防的な行動を継続していくことも重要になります。
どうしても不安な場合は検査を
ほとんどの場合は予防接種で免疫を獲得することが出来るのですが、まれに私のように抗体がつきにくい体質の人もいますので、自分や子供が感染リスクが高く、抗体を持っているか不安な場合は、医師に相談してみるのもありだと思います。
小児の場合は分かりませんが、成人は血液検査で抗体の有無を調べることが可能です。
家族内や身近に感染者がいるとわかっているなどの場合は、かかりつけの医師に相談してみましょう。
基本は予防接種と予防的行動
私の体験から、少数ですが、抗体がつきにくい体質の人もいると分かってもらえたかと思います。
私自身、血の繋がっている家族には特別な病気、もちろん肝炎になっている人もいません。
つまり、誰がその体質かは分からないということです。それが自分の子供かもしれない。
不安を煽るようなことを書いてしまいましたが、私はワクチン接種を否定しているのでは全くなく、このような少数の体質の人もいることを知っていてほしいのです。
ワクチンは完璧に病気を防ぐものではないということも。
親はその事を知った上で、子供を守るための出来る予防策をして欲しいと思います。
- 子どもに体液や血液などからの感染リスクを説明する
- 傷口をむやみに触らない
- 家族内に感染者がいるとわかっていたら、歯ブラシやタオルの使いまわしはしないようにする
- ある程度の年齢になったら、家庭でも性教育をする
などの基本的なことでも、子ども自身が分かっているかで感染のリスクは大きく減らすことが出来ます。
まとめ
B型肝炎は知らない内に感染をしてしまっているケースもあります。
特に子供の場合は気づいた時には慢性化をしていて、がんに繋がってしまうことだってあるのです。
大切な我が子を守るためにも、
・まずは予防接種を確実に受ける
・感染リスクが高くなるようなことはしない、させない
を徹底して、感染を予防していきましょう。